特定技能1号を採用する企業・採用担当者へ
求人を依頼する前に、任せる仕事、給与、勤務、住居を、候補者が比べられる形に整理しましょう。まだ決められない点は、担当と確認日を付けて残します。「詳しくは入社後に説明」ではなく、選考中に同じ条件を共有するための準備です。
この記事は、建設・介護・食品製造・工業製品製造の採用を考える企業向けの実務例です。下の表は社内の整理用であり、求人票、雇用契約書、在留申請の公式書類を代わりにするものではありません。対象業務や会社の受入条件は、分野ごとに別途確認します。
- 01仕事を決める
工程・場所・担当範囲
- 02条件をそろえる
給与・勤務・生活費
- 03不明点を確認
担当・資料・期限
- 04説明をそろえる
求人・面接・契約を照合
「製造」「介護」だけでなく、何をどこまで任せるかを書く
職種名だけでは、一日の仕事が伝わりません。何を扱い、どの工程を担当し、誰の指示を受けるかまで書きます。候補者に求める経験と、入社後に教えることも分けると、面接で確かめる内容を決めやすくなります。
「食品の製造」だけでなく、「加熱後の製品を決められた量に分け、包装前の表示を確認する。異常を見つけたら作業を止めて班長へ報告」と具体化します。さらに勤務する工場、作業室の温度、立ち作業、使う道具を確認します。
この例だけで、特定技能の対象業務に当たると判断することはできません。製品・事業所・実際の工程を公式条件と照合してください。
求人募集では、仕事と就業場所の内容に加え、それぞれの変更の範囲も明示が必要です。有期契約では更新の基準と、通算期間・更新回数の上限がある場合はその内容も整理します。2024年4月から追加された事項を含め、募集時の必要事項を確認しましょう。厚生労働省:募集時等の労働条件明示
「変更の範囲」を広く書けば、在留資格で認められる業務も自由に広がるわけではありません。分野・業務区分との関係は、建設、介護、食品製造、工業製品製造の各案内から確認できます。
基本給・手当・本人負担を、別の欄で説明する
特定技能外国人の報酬は、同等の業務に従事する日本人と同等以上であることが必要です。「外国人向けの一律相場」だけで決めず、自社の賃金規程や比較する仕事・責任・経験を確認します。同じ仕事の日本人がいない場合も、給与の根拠を確認せずに決めてよいという意味ではありません。入管庁FAQ Q26・Q30:報酬の基準と比較
基本給、決まって支給する手当、残業や夜勤の実績で変わる手当を分けます。残業が多い月の総額を、毎月確実にもらえる給与のように伝えないようにしましょう。固定残業代を設ける場合は、その額・対象時間数・超過分の扱いなどを確認し、基本給に紛れ込ませず説明します。
| 区分 | 整理する内容 | 説明時の注意 |
|---|---|---|
| 支給する給与 | 基本給、手当、計算条件、締日・支払日 | 確定した額と、勤務実績で変わる額を分ける |
| 本人の負担 | 税・社会保険料、家賃等の費目と根拠 | 一律の手取りを保証しない。控除の可否や手続も確認する |
| 企業の採用・支援費 | 委託先の見積もり、会社負担分 | 本人の給与や家賃と別に管理する |
義務的支援を実施するための費用は、外国人本人へ負担させられません。家賃等の生活費と混ぜて「支援料」として差し引かないでください。実際の控除は、法令上の扱いと必要な合意・書類を確認します。入管庁FAQ Q76・Q79・Q80:支援費の負担
シフト・通勤・住居は、一日の生活が分かる形にする
始業・終業、休憩、休日、残業の有無を整理し、交替勤務なら代表的なシフトを示します。夜勤明けの通勤手段、着替えや準備の扱い、暑さ・寒さ、重量物など、実際に働く場所で確認してください。分からない項目を、募集を急ぐために「問題なし」で埋めないことが大切です。
住居は、会社が用意するか、物件探しを支援するかを分けます。家賃、初期費用、家具家電、相部屋の有無、光熱費、通勤方法を、決定済みと候補に分けて説明しましょう。住居確保の支援が必要なことと、家賃をすべて会社が負担することは別です。入管庁FAQ Q89〜Q92:住居確保の支援
契約名義や費用の担当は、入社前の住居準備チェック表で詳しく整理できます。本記事では求人時に伝える条件へ絞ります。
求人票と契約書を、同じ版の条件で照合する
求人票は候補者が応募を考えるための情報、雇用契約書・雇用条件書は契約する条件を確認する書類です。求人時と条件が変わったら、変更点を本人へ明示します。口頭の説明だけを更新し、求人票や面接担当者の資料が古いままにならないようにしましょう。厚生労働省:募集時と契約時の明示
契約期間、試用期間、就業場所・業務とその変更範囲、勤務・休暇、賃金、退職、保険など、必要な明示事項を当日の公式様式・案内と照合します。この整理表だけで、すべての法定事項を満たすとは判断しないでください。説明には本人が理解できる言語を使い、質問を受ける時間を設けることをおすすめします。
有期雇用では、2026年10月1日から、雇入れ時の明示事項に「通常の労働者との待遇の違いの内容・理由等について説明を求めることができる旨」が加わりました。期間を定めて特定技能人材を雇う場合も、最新の通知書と相談窓口を確認します。厚生労働省:2026年10月施行の改正案内
求人依頼前に使う8項目の整理表
金額や条件を決める責任者、根拠資料、未確認の点、次の確認日も一緒に残します。社内で決められない点は、そのまま相談材料にしてください。
入力は送信・保存されません。必要事項は社内文書へ転記してください。候補者の氏名、在留カード番号、個人の給与明細などは入力しないでください。
| 項目 | 整理すること | 自社のメモ |
|---|---|---|
| 1 仕事と場所 | 製品・工程・ケア、担当範囲、就業場所、変更の範囲 | |
| 2 契約 | 雇用主、契約期間、試用期間、更新基準・上限、開始希望日 | |
| 3 給与 | 基本給、手当、変動する額、比較根拠、締日・支払日 | |
| 4 勤務 | 時刻、休憩、休日・休暇、残業、交替勤務 | |
| 5 生活費 | 税・保険、家賃等の費目、本人負担の根拠、手取りの説明条件 | |
| 6 住居・通勤 | 確保方法、契約、設備、初期費用、通勤経路 | |
| 7 選考・教育 | 採用前に必要な経験と、入社後に教える内容・担当 | |
| 8 説明・管理 | 説明言語、質問窓口、条件の版、変更時の担当と再説明 |
全部決まるまで、相談できないのでしょうか?
未確認が残っていても、どこが未定かを分ければ相談を進めやすくなります。まず仕事内容、勤務地、希望人数・時期を整理し、給与・勤務・住居で迷っている点を添えてください。ただし、未定の条件を確定情報として募集・契約へ使うことは避けましょう。
任せたい仕事から、求人条件を整理しましょう
ヒューマンキャピタルでは、仕事内容と雇用条件を伺い、人材選びと受入れ準備の進め方を整理します。分野、事業所所在地、希望人数・時期、まだ決められない条件を、分かる範囲でお知らせください。料金や支援範囲は個別に確認します。
仕事内容と求人条件を相談する →記入欄の内容は相談先へ自動送信されません。必要な要点を選んでお伝えください。
確認日・参考資料
内容確認日:2026年10月16日。募集・契約の時点で最新の制度と様式を確認してください。
- 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q26・Q30・Q31、Q76・Q79・Q80、Q89〜Q92
- 厚生労働省「令和6年4月より、募集時等に明示すべき事項が追加されます」
- 厚生労働省「求人票や求人広告にはどこまで細かく書かなければならないのでしょうか」
- 厚生労働省「同一労働同一賃金特集ページ」令和8年改正
編集:ヒューマンキャピタル株式会社