建設会社の採用準備
「人を探したいけれど、うちの会社は何から準備すればいい?」
建設業で特定技能1号の人材を初めて受け入れるなら、まず会社の条件・任せる仕事・雇用条件・支援の担当を整理しましょう。候補者が決まる前にも、進められることがあります。
この記事は、建設会社の経営者や採用担当者に向けた準備ガイドです。特定技能1号は、一定の技能と日本語能力などの要件を満たす外国人が働くための在留資格です。ここでは建設分野の1号に絞り、募集・面接前に社内で確認したいことをまとめます。
まず会社側の準備を、4つに分けましょう
最初から申請書を埋めようとすると、現場・総務・経理に何度も確認が必要になります。次の順に情報を集めると、何を誰に聞くかが整理できます。これは社内準備のおすすめ順で、行政の申請順序を示す図ではありません。
- 01会社の土台
許可・登録・加入を確認
- 02仕事と条件
工事内容・人数・待遇を整理
- 03受入れの担当
仕事・生活・相談の役割を決める
- 04未確認を相談
不足資料と次の一手を決める
1.会社の許可・登録は、資料で確かめる
建設分野には、特定技能全体の基準に加えて、建設業独自の条件があります。会社の建設業許可、CCUSの事業者登録、JAC(建設技能人材機構)への加入状況は、早めに確認したい項目です。CCUSは、建設技能者の資格や就業履歴などを記録する「建設キャリアアップシステム」のことです。
「申請した」と「登録・加入が完了した」は分けて確認します。国土交通省の新規申請手引きでは、会社のCCUS事業者登録とJAC加入は、申請中のままでは受入計画を申請できないとされています。国土交通省・新規申請手引き(主な認定条件)
JACへの加入方法には、JACの正会員である建設業者団体を通じる方法と、賛助会員になる方法があります。すでに加入している団体がある場合は、会員証明を出せるか確認しましょう。国土交通省・JACへの加入について
外国人本人のCCUS技能者登録は、会社の事業者登録とは別です。国内・海外など本人の状況によって確認時期が異なるため、「会社の登録が済んだから全員分も大丈夫」とは扱わず、候補者ごとに確かめます。
2.「現場作業」より、実際の工事を具体的に
求人に「建設作業全般」と書くだけでは、採用する人の技能と仕事が合うか判断しづらくなります。現場の担当者に、何をつくる工事で、どの作業を任せるかを聞きましょう。
「建設作業」だけでなく、
「戸建て住宅の内装工事で、壁・天井の下地とボードの施工を担当。主な現場は県内。現場への移動は会社の車で行う予定」
工事の種類、作業、場所、移動方法が分かると、制度との照合や面接の質問を具体化できます。この例だけで受入れの可否が決まるわけではありません。
建設の業務区分には「土木」「建築」「ライフライン・設備」があります。実際の工事がどの区分に当たるかを、公式の対応表と照合します。候補者が決まったら、その人の試験や技能実習の内容との対応も確認します。国土交通省・業務区分と建設工事の対応表
人数も、希望だけで決めないことが大切です。受入人数には常勤職員数を基準とする条件があります。社員名簿と社会保険の資料を用意し、数え方や現在の受入人数も含めて確認しましょう。国土交通省・受入企業の条件
同じ職種の正社員をハローワークで募集する取組みも確認します。求人票を用意し、どの仕事を、どの条件で募集したかを説明できるようにしましょう。JAC・国内人材確保に関する認定条件
3.給与は金額だけでなく、説明できる根拠を用意
特定技能1号の建設人材には、同等の技能を持つ日本人と同等額以上の報酬を、安定して支払うことが求められます。月給制、口座振込、技能の習熟に応じた昇給も確認事項です。JAC・新規認定条件(報酬・昇給)
そこで、総務・経理には「いくら払うか」と一緒に、「なぜその金額か」を説明できる資料を集めてもらいます。基本給、手当、残業、休日、住居費などは分けて整理すると、本人への説明も明確になります。
比較できる日本人社員がいないときも、金額を感覚で決めません。国土交通省は、賃金規程や地域の賃金水準などを使う説明方法を案内しています。自社に合う資料を確認しましょう。国土交通省・報酬額を説明する資料
4.現場で教える人と、生活の相談先を決める
特定技能1号では、仕事だけでなく生活面も含めた支援計画が必要です。住居の確保や生活に必要な契約の支援、相談対応などを、誰が行うか整理します。登録支援機関への委託を検討する場合も、任せる範囲と会社側に残る仕事を確認しましょう。JAC・受入企業が実施する支援
社内では、例えば「仕事を教える人」「生活上の連絡を受ける人」「不在時の代わりの人」を決めておくと、困ったときのたらい回しを減らせます。これは受入れを進めやすくする実務上の工夫です。
安全教育も、入社してから考えるのではなく、任せる作業に合わせて準備します。必要な教育・資格を確認し、危険箇所の写真や短い言葉など、本人が理解できたかを確かめられる説明を用意しましょう。国土交通省・安全衛生教育に関する条件
社内で使う、受入れ準備チェック表
以下は募集・面接前の情報整理用です。申請書類の全項目や、受入れ可否の判定表ではありません。状態を「確認済・未確認・対象外(理由)」で整理し、未確認なら右の欄に担当者と次の行動を書きます。会社名・担当者名を記入した表は、社内で管理してください。
画面上で記入できますが、入力は保存・送信されません。必要な内容は社内資料へ転記するか、印刷してください。スマホでは各項目が縦に並びます。
| 項目・種類 | 確認する人と資料 | 未確認なら次にすること | 自社のメモ |
|---|---|---|---|
| 会社の許可 制度の確認 | 代表・総務 建設業許可の通知書、有効期限 | 許可の状況を確認。更新中なら申請状況も整理する。 | |
| 会社のCCUS・JAC 制度の確認 | 総務 事業者ID、会員証明、申請状況 | 完了と申請中を分ける。未加入なら加入経路を確認する。 | |
| 任せる工事 制度に合うか確認 | 現場責任者 主な工事、作業、使用機械のメモ | 一日の作業を具体化し、業務区分との対応を確認する。 | |
| 人数・国内募集 制度の確認 | 総務・採用担当 社員名簿、社会保険資料、ハローワーク求人票 | 人数の数え方と、同じ職種の国内募集状況を確かめる。 | |
| 給与・休日 制度に合うか確認 | 経理・労務担当 賃金規程、比較用資料、勤務カレンダー | 提示条件と金額の根拠を整理。比較資料がなければ確認する。 | |
| 住居・生活支援 支援計画の準備 | 総務・支援窓口 住居候補、通勤方法、支援の役割案 | 住まいと通勤の見通しを立て、会社と委託先の分担を相談する。 | |
| 安全・教育 制度確認と実務準備 | 現場責任者 作業別の必要教育、教える人、連絡先 | 必要な教育を確認し、伝え方と理解の確かめ方を決める。 |
制度項目の主な根拠:国土交通省・新規申請手引き(資料一覧)、JAC・支援の内容。担当者の分け方と未確認時の行動は、本記事の実務上の提案です。
候補者が決まったら、会社と本人の情報をつなぐ
ここまでの表は会社側の準備です。採用を進める段階では、本人の技能・日本語・在留状況、雇用契約、支援計画なども個別に確認します。建設分野では、国土交通省の「建設特定技能受入計画」(仕事内容や待遇などを記した計画)の認定と、出入国在留管理局(入管)の在留手続きが必要です。
両方の申請を並行して進められる場合がありますが、国土交通省の認定前に入管の許可等が出るわけではありません。希望入社日だけで進めず、資料の準備と審査を含めて予定を立てます。国土交通省・申請時期と並行申請の注意点
初めて受け入れる場合は、雇用契約を結んだ後、在留資格認定証明書の交付申請または在留資格変更許可申請の前に、事業所と住居の所在地の市区町村へ「協力確認書」を提出する手続きも確認します。支援計画を作る際には、関係する市区町村の共生施策も確認します。出入国在留管理庁:地域の共生施策に関する連携Q&A
次の一歩
未確認の項目から、一緒に整理しましょう
「うちの工事は対象になる?」「CCUSやJACは何から確認する?」という段階でも、まずは現在地を整理できます。
分かる範囲で、①任せたい工種 ②希望人数 ③希望時期をまとめてください。ヒューマンキャピタルの建設支援ページで準備状況を確認し、そのまま相談の入口へ進めます。
自社の受入れ準備を確認する