フィリピンから特定技能労働者を雇用する手続き

今回は、フィリピンからの特定技能外国人を受け入れる手順についてご紹介します。

フィリピンから特定技能外国人を受け入れる際には、駐日フィリピン共和国大使館海外労働事務局(POLO:Philippine Overseas Labor Office)の取り決めに沿って求人募集を行う必要があります。

なお在留資格認定証明書の有効期限は、交付された日から3か月です。期限切れとならないように注意してください。

また在留外国人統計によると、在留フィリピン国籍の方の総数は2019年12月現在で32万人を超えています。

そこで今回は、フィリピンからの受け入れと共に、在留フィリピン国籍の方の受け入れフローについてもご紹介します。

受け入れ手続きのフロー

送出機関との募集取決めの締結

フィリピン国籍の方を特定技能外国人として受け入れるためには、フィリピン政府から認定を受けた現地の送出機関を通じて人材の紹介を受け、採用活動を行う必要があります。

なお求人募集にあたっては、送出機関との間で人材の募集及び雇用に関する互いの権利義務を明確にした募集取決めの締結が求められています。またフィリピン政府によると、募集取決めは日本の公証役場での公証を経たものを求めるとのことです。

募集取決めについては、駐日フィリピン共和国大使館海外労働事務所(POLO:Philippine Overseas Labor Office,在東京)のホームページにて参考様式が示されています。(英語)

また,フィリピン政府から提供があった認定送出機関のリストは、法務省ホームページの「認定送出機関」に掲載されています。

法務省に掲載されているリストは送出機関の名称のみです。

送出機関の連絡先等詳細な情報は、フィリピンの海外雇用庁(POEA:Philippine Overseas Employment Administration)のホームページ内にある検索エンジン「Status of Recruitment Agencies」で検索できます。(英語)

STEP
1

必要書類をPOLO等に郵送・審査

必要書類(労働条件等を記載した雇用契約書のひな形、作成した募集取決め、求人・求職票等)をPOLO等に郵送し、所定の審査を受けたあと雇用主(特定技能所属機関)としてPOEAに登録します。

POLO等への提出書類は、所定の様式に則って作成しなければなりません。具体的な必要書類とその様式は、POLOのホームページに掲載されています。

なお、POLO等での審査の標準処理期間は、15営業日内とされているとのことです。

令和2年(2020年)2月3日より下記の地域における受入機関は、在大阪フィリピン共和国総領事館(以下「在大阪 総領事館」という。)の労働部門において、提出書類の受付、審査及び面接の手続を開始したとのことです。

下記地域に関しては、東京の駐日フィリピン共和国大使館海外労働事務所POLOでの受付は行なっていませんのでご注意ください。

在大阪総領事館の管轄区域(令和2年(2020年)10月12日現在)
愛知県、岐阜県、三重県、富山県、石川県、福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、熊本県、宮崎県及び鹿児島県


なお手続きの迅速化を図るため、受入機関がPOLOの審査官に面会して書類不備の有無等の確認を受けられるようオンラインで面会予約できるシステム(Online Queueing System)を整備したとのことです。システムの活用は任意です。

システムの予約フォームについてはPOLOのホームページを参照してください。

*在大阪総領事館は行なっていません。

STEP
2

POLO等での面接

審査を経た後、受入機関の代表者の方又は委任された従業員の方は、 POLO等で労働担当官による英語での面接を受けます。

なおこの面接は、コンサルティング業者(行政書士を含む。)や登録支援機関の方が代わって受けることが認められていませんので御注意ください(通訳は同席OK)。

また必要に応じて、POLO等による受入機関への実地調査が実施されるとのことです。

STEP
3

POEAへの登録

審査と面接を経て雇用主として適正であると判断された場合、POLO等から認証印が押印された提出書類一式及び推薦状が送られてきます。

受入機関は、送出機関を通じてこれらの書類一式を本国のPOEAに提出することで、雇用主としてPOEAに登録されるとともに、求人情報が登録されるとのことです。

POEAへの登録後、提出した雇用契約書のひな形にPOEAの認証印が押印され、送出機関を通じて受入機関に対して返送されます。つまりPOLO等及び POEA両方の認証印が押印された雇用契約書のひな形等が受入機関の手元に返送されるとのことです。

POEAへの登録が済めば、フィリピン国籍の方の採用活動に着手可能となります。

STEP
4

雇用契約の締結

送出機関から紹介されたフィリピン国籍の方と、特定技能に係る雇用契約を締結します。

STEP
5

在留資格認定証明書の交付申請

地方出入国在留管理官署に出向いて特定技能に係る在留資格認定証明書の交付申請を行います。

証明書が交付されたら、雇用契約を締結したフィリピン国籍の方に証明書の原本を郵送してください。

STEP
6

ビザ発給

フィリピン国籍の方は、在フィリピン日本国大使館に対して在留資格認定証明書を提示し、特定技能に係るビザ発給申請を行います。

STEP
7

出国前オリエンテーション・健康診断

特定技能外国人として来日予定のフィリピン国籍の方は、出国前オリエンテーションと健康診断を受ける必要があります。

なお出国前オリエンテーションと健康診断はどちらも半日程度かかるとのことです。

ビザ発給申請・出国前オリエンテーションの受講・健康診断の受信は、同時並行で行うことが可能です。

STEP
8

海外雇用許可証(OEC)の発行申請

ビザを取得し出国前オリエンテーションの受講と健康診断の受診後、フィリピン国籍の方は、送出機関を通じてOECの発行をPOEAに申請します。

フィリピンを出国する際に、取得したOECを提示することが必要とされているとのことです。

なおOECの発行申請時には、在留資格認定証明書が有効期限内である必要があるとのことです。

*在留資格認定証明書の有効期限は、交付された日から3か月

STEP
9

入国・在留

日本に入国する際に上陸審査が行われ、認められれば「特定技能」の在留資格が付与されます。

STEP
10

以上が、フィリピンから特定技能外国人を受け入れる手順になります。

続いて日本に在留するフィリピン国籍の方を受け入れるフローをご紹介します。

日本に在留するフィリピン国籍の方を受け入れるフロー

POLO等への書類提出・面接・登録および雇用契約の締結

雇用契約の締結までの流れは上記と同じです。

大まかには

  • POLOもしくは大阪在フィリピン大使館への書類の提出
  • 面接
  • POEAへの登録
  • フィリピン国籍の方との雇用契約の締結

となります。

STEP
1

在留資格変更許可申請

フィリピン国籍の方が地方出入国在留管理官署に出向いて特定技能への在留資格変更許可申請を行います。

在留資格の変更が許可されれば、手続きは完了です。

STEP
2

よくあるQ&A

現地の送出機関を介さずに、フィリピン国籍の方と雇用契約を締結することはできないのでしょうか。

フィリピンにおいて、特定技能外国人の送出しには送出機関を介することが必要とのことです。

東京から遠く離れた地方に住んでいるのですが、駐日フィリピン共和国大使館海外労働事務所(POLO)の面接を受けるためには、東京に行かなければならないのでしょうか。

フィリピン当局によれば、令和2年(2020年)2月3日より、在大阪フィリピン共和国総領事館(以下「在大阪総領事館」という。)の労働部門において、在大阪総領事館の管轄区域内に所在する受入機関からの提出書類の受付、審査及び面接の手続を開始したとのことです。

つまり下記の地域については、在大阪総領事館で受付を行なっています

なお在大阪総領事館の管轄区域については、東京のPOLOでは受付をしていません。

在大阪総領事館の管轄区域(令和2年(2020年)10月12日現在)
愛知県、岐阜県、三重県、富山県、石川県、福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、熊本県、宮崎県及び鹿児島県


一方、在大阪総領事館の管轄区域外に所在する受入機関については、従前どおり東京にあるPOLOでの手続が必要とのことです。

POLO及び在大阪総領事館労働部門の審査を受けるのに、手数料はかかりますか。

POLO及び在大阪総領事館労働部門での審査には、手数料はかかりません。
一方、本国の海外雇用庁(POEA)による海外雇用許可証(OEC)の発行には、手数料が必要です。

日本の職業紹介事業者は、フィリピン側の手続に関与できないのでしょうか。

現在のところ、日本の職業紹介事業者がPOLO及び在大阪総領事館労働部門での審査に関する手続に関与することは認められていないとのことです。

POLOのホームページによれば、職業紹介事業者についてはPOEAから別途通達が発出される予定となっています。

特定技能外国人として雇用する予定の方がOECの取得を忘れた場合、どうなるのでしょうか。

OECはフィリピン国籍の方が特定技能外国人としてフィリピンを出国する際の必要書類とされているとのことです。

OECを取得しなかった場合、フィリピンを出国できません。

特定技能外国人であるフィリピン国籍の方が一時帰国した場合、日本に戻る際には再びOECを取得する必要がありますか。

海外就労者がフィリピンを出国する都度、OECを取得する必要があります。

雇用先が一時帰国前と帰国後で同じ場合であっても、OECの取得が必要とのことです。

ちなみに有効期限は発行から60日間です。

駐日フィリピン共和国大使館海外労働事務所(POLO)
所在地:東京都港区六本木5-15-5
電話番号:03-6441-0428,03-6441-0478
メールアドレス:polotokyo@gmail.com

在大阪フィリピン共和国総領事館労働部門
所在地:大阪府大阪市中央区淡路町4-3-5 URBAN CENTER御堂筋7階
電話番号:06-6575-7593
メールアドレス:pcglaborsection.verification2020@yahoo.com

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